濁度計のいろは濁度計とは?濁り・色度・バイオアッセイとの違い、原理と種類を徹底解説濁度計のいろは

濁度計のいろは 濁度?色度?バイオアッセイ? 計装

はじめに:濁度計って何?水質の「目」となる重要な機器

皆さんは水がどれほど清浄であるか、どのように確認されているかご存知でしょうか。水道水を安心して飲めるのも、工場排水が私たちの生活環境に悪影響を与えないのも、すべては水質を正しく監視しているからです。その監視において、欠かせない役割を果たすのが「濁度計」と呼ばれる装置です。

濁度計とは、水中に含まれる微小な粒子の量を数値化する装置であり、水の濁りを「見える化」します。浄水場では取水から配水に至るまでの各工程で、常に濁度が監視されています。さらに工場排水や河川のモニタリングでも広く用いられ、社会全体の水環境を守るセンサーと言えます。

この記事では濁度計の基本原理から種類、さらに設置の注意点までを丁寧に解説します。単なる装置の紹介にとどまらず、現場でよく起こるトラブル事例やその対策についても触れます。水質監視を担うプラントエンジニアにとって、実務に直結する知識となります。


濁度計はどういう仕組みで検出するの?

濁度計の測定原理は、光と水中粒子の関係を利用しています。大きく分けると「透過光方式」「散乱光方式」の二つがあり、対象となる水質や用途によって使い分けられます。どちらの方式もシンプルな物理現象を応用しており、理解しておくと装置選定や設置時の判断が容易になります。

透過光方式は、光源から出た光が水を通過した際の減衰を測定します。水が澄んでいれば光は多く届き、濁っていれば光は遮られて弱まります。シンプルで分かりやすい方式ですが、高濁度の水では透過光がほとんど届かず測定困難となる場合があります。そのため、原水や沈殿水、混和水などの低濁度の水質監視に多用されます。工場排水や下水には不向きです。

散乱光方式は、水中の粒子に光が当たり散乱する性質を利用します。粒子が多いほど散乱光は強くなるため、濁度を高精度に検出できます。高濁度水でも測定できる一方、気泡や微細な不純物の影響を受けやすい点に注意が必要です。透過光方式では対応できないような下水や工場の排水の濁度検出として適しています。

上記に似ているのが汚泥濃度計です。気になる方は下記も合わせてご覧ください。


濁度?色度?何が違う?

濁度と似たような文脈で語られることが多いのが「色度」です。しかし、この二つはまったく異なる水の性質を表しています。簡単に言えば、濁度が水の「にごり」を示すのに対し、色度は水の「色」そのものを表す指標です。

濁りの原因が水中の浮遊物や微粒子であるのに対し、色の原因は水に溶け込んでいる物質、特に植物由来のフミン質や鉄、マンガンといった金属イオンです。たとえば、温泉水が茶色っぽく見えるのは鉄分が溶け込んでいるため、また沼地の水が黒っぽいのは、植物が分解されて生じたフミン質が多く含まれているためです。

水の安全を管理する上で、色度を測定することは非常に重要です。なぜなら、色度が高い水は、不快な見た目だけでなく、消毒に使う塩素の効果を低下させたり、配管にスケールを付着させたりする原因となることがあるからです。浄水場では、水道法の基準を満たすために、水の濁度と色度を定期的に測定し、必要に応じてろ過や凝集沈殿といった処理を行います。

この色度を測定する専用の機器を「色度計」と呼びます。原理は濁度計と似ており、特定の波長の光を水に透過させ、その光の吸収率から色度を測定します。ただし、濁度計が光の「散乱」も利用するのに対し、色度計は主に光の「吸収」を測定するため、機器の構造や測定方法が少し異なります。

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目的別!最適な濁度計の選び方

さて、話を濁度計に戻しましょう。濁度計には設置方式の違いによって、インライン式、オンライン式、卓上式の三種類が存在します。それぞれに特長があり、現場条件や用途に合わせて使い分ける必要があります。誤った選定は精度の低下やメンテナンス負担の増大を招くため、慎重に検討することが大切です。

インライン式は、配管内に直接センサーを組み込み、流れる水をリアルタイムに監視します。水質の変化を即座に検知できるのが大きな利点であり、浄水場やプラントの監視システムに適しています。ただし、メンテナンスのために配管を停止する必要がある点は考慮が必要です。バイパス配管を設けることや、設備停止時間を狙ってメンテナンスするなどで対処可能です。

オンライン式は、測定水を自動で引き込み、装置内部で測定する方式です。センサ清掃や交換が容易で、長期安定稼働に適している一方で、サンプリングポンプ(検水ポンプ)のようなくみ上げや測定器などの初期費用がかかる他、くみ上げるまでのタイムラグが発生する点にも注意が必要です。卓上式は持ち運び可能で、現場で採水して、検査室に持ち帰って測定する用途に使われます。現場ではイニシャルコストだけでなく、ランニングコストも考慮した上で、水質特性や運用体制に適した選択が求められます。


意外な落とし穴!設置時に起こりがちなトラブル事例

濁度計の導入時には、測定原理だけでなく設置環境にも注意が必要です。特にポンプとの関係や配管内の流れの状態が測定結果に大きく影響します。現場では「正しく取り付けたのに値が安定しない」という相談が少なくありません。その背景には水の動きが深く関係しています。

例えばポンプが稼働中であれば水は撹拌され、粒子は均一に分散します。この状態では測定が安定しやすいですが、気泡が混入すると濁度値が大きく変動します。逆にポンプが停止すると浮遊物が沈殿し、測定値は低下方向に偏ります。そのため、ポンプ運転と測定を連動させることが基本となります。「ポンプ停止中は濁度測定を直前値ホールド」のような入力を濁度計に行い、異常検出で警報が出ないようにすることも多いです。

さらに、センサの汚れや気泡の混入も代表的なトラブルです。水質成分やバイオフィルムにより窓部が汚れると、光の透過や散乱が妨げられ、誤差が拡大します。定期的な清掃が欠かせません。もしくは、自動洗浄装置付の濁度計を導入するのが有効な対策です。また気泡除去装置の設置も測定安定化に効果的であり、設計段階から考慮すべき要素です。

補足:バイオアッセイというもう一つの監視方法

現代では濁度計をはじめとする高性能な計測機器が水の安全を守っていますが、実は機械に頼る以前から、そして現在も併用されている重要な監視方法があります。それが「バイオアッセイ」と呼ばれる、生き物の反応を利用した水質監視です。

特に浄水場などでは、コイやフナといった魚類を専用の水槽で飼育し、24時間体制でその様子を観察しています。T係長も小学校の社会科見学で見たことがあります。もちろん、今の仕事に就いてからもちょくちょく出会います。水槽の魚は、水中にごくわずかな有害物質が混入しただけでも、異常な遊泳や行動の変化を示したり、最悪の場合は死に至ったりします。

濁度計が「水の濁り」という単一の指標を測定するのに対し、バイオアッセイは「生物への影響」という総合的な指標をリアルタイムで検知できるのが最大の特徴です。 たとえば、予測していなかった未知の化学物質が混入した場合でも、魚の異常な反応が素早く警告を発してくれます。これは、機械的なセンサでは検知が難しい事態に対応する、いわば「最後の砦」のような役割を果たします。

しかし、バイオアッセイも完全無欠ではありません。魚の体調や個体差によって反応が異なる場合があるため、常に安定した結果が得られるわけではありません。また、異常反応が起きた際に、その原因が何であるかを特定するためには、別途、詳細な水質分析が必要にもなります。必ずにも何か1つだけの方法に頼るのではなく、機械的な監視システムと生物学的な監視システムを組み合わせることで、より確実で多角的な水の安全管理が実現することが大切です。

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まとめ:水の安全は濁度計が守る

濁度計は、水の濁りを光の性質で数値化する装置であり、水質の安全を確保する上で欠かせません。透過光方式と散乱光方式の違いを理解し、適切な設置方式を選ぶことが測定精度の鍵となります。また、ポンプや配管の影響、センサの汚れなど現場特有の要因にも十分注意する必要があります。現場での正しい理解と適切なメンテナンスが、長期にわたる信頼性確保につながるといえるでしょう。水を扱うすべての現場において、濁度計は「水の目」として欠かせません。この記事を通じて、その仕組みや役割を理解し、運用上の注意点を把握していただければ幸いです。

この記事を書いた人
T係長

30歳で制御設計の世界に飛び込み、未経験から10年以上にわたり、プラント設備の制御設計・更新・改造案件に携わってきました。これまで100件を超える現場経験を通じて、設計図面から制御盤、シーケンス制御、保護協調まで幅広い電気技術を磨いてきました。
保有資格は「第二種・第三種電気主任技術者」「第二種電気工事士」「基本情報技術者」。資格の枠にとらわれず、現場で困っている人を助けられる技術者であることを大切にしています。
このブログ「誠電気設計」では、初心者や若手エンジニアの方にもわかりやすく、実務に役立つ知識を共有しています。学びを通じて、読者とともに成長し続けることを目指しています。

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