はじめに:電卓は「文房具」ではなく「計算機という武器」である
電験(電気主任技術者試験)という山に挑む際、私たちが手にする武器はそれほど多くありません。公式を詰め込んだ頭脳、そしてそれを具現化するための「電卓」です。
私はかつて日商簿記2級の試験に挑んだ際、初めて本格的な実務電卓としてカシオの「JF-120GT」を選びました。1円のズレも許されない簿記の世界で培った「指の記憶」と「道具への信頼」は、その後、より過酷な電験三種、そして電験二種へと舞台を移しても、変わることなく私を支え続けてくれています。電験受験では後継機の「JF-120GT-N」を使用しています。今でも普通に仕事で使用してます。今回は、なぜ「JF-120GT-N」が電験受験生にとって「最適な電卓」と言えるのか、実戦的な視点から深掘りします。
※本記事はAmazonアフィリエイトプログラムに参加しており、記事内のリンクを通じて購入が発生した場合に紹介料を受け取ることがあります。
宿命の対決:カシオ vs シャープ、そして「統一」の鉄則
電卓選びにおいて、T係長の最初のアドバイスは「一度決めたメーカの配列からは一生離れない」ということです。国内の二大巨頭であるカシオとシャープですが、この両者の間には「ボタン配置」という決定的な壁が存在します。メーカの乗り換えは、使用感の大きな変更に繋がってしまいます。これが電験合格を遠ざけてしまうことになってしまうのです。手になじむものを求めるのが最も良いです。
指が覚える「配列」の恐ろしさ
カシオのJF-120GT-N(カシオ標準配列)は、一番下の列が左から「0」「00」「.」という並びになっています。対してシャープ製の多くは「0」「.」「=」という並びが一般的です。

電験の試験本番、極限の緊張状態では脳よりも先に「指」が動きます。日頃カシオで勉強している人が、試験当日に予備機としてシャープの電卓を使えばどうなるか。「00」を打とうとした瞬間に「.」を叩いてしまうケアレスミスが多発します。その焦りがさらなるミスを呼びます。
何故こんな真に迫ったことが言えるか、何を隠そう、T係長自身が日商簿記2級の本試験でやらかしたからです。当時は別に電卓もこだわりが無く、なんとなくカシオを使用していました。出張からそのまま試験に行った際に、いつもの電卓を忘れてしまいました。急いでコンビニで買って、試験会場に飛び込みました。手に持っていたのは、シャープ製の電卓でした。結果は…皆様のご想像の通りです。
そんなこんなで、T係長は簿記2級でカシオに慣れたため、電験でも迷わずカシオを選びました。この「配列の統一」こそが、計算スピードを思考の速さに追いつかせる唯一の方法です。電験合格までは、実務でも関数電卓を捨て、T係長はこの試験用電卓を使用していましたから。
電験攻略の要:ルート計算と「00」の魔力

ワンタッチでルートを導く重要性
電験の計算問題において、ルート計算は避けて通れません。交流回路のインピーダンス \( Z = \sqrt{R^2 + X^2} \) や、三相電力の \( P = \sqrt{3}VI \cos \theta \) など、あらゆる数式にルートが登場します。試験要綱にも記載されている通り、ルート計算機能のある電卓は必須条件です。
その上で、JF-120GT-Nのルートキーは、独立した非常に押しやすい位置に配置されています。複雑なベクトル計算が続く中で、ワンタッチで平方根を導き出せるレスポンスの良さは、計算のリズムを崩しません。
「00」ボタンによる桁入力の高速化
さらに電験では kV や MW、GW など、ゼロが並ぶ数値を頻繁に扱います。「0」を何度も連打するのは打ち間違いの原因となりやすいですが、「00」キーを活用すれば入力回数を劇的に減らせます。カシオの電卓では、左から「0」と「00」が並んでいますので、順に押すと k が入力できます。 これは簿記で培ったテクニックでしたが、電験の単位換算においても最強の武器となります。
スポンサーリンク
絶望を救う「桁消し(戻る)」ボタンと「ハードカバー」
メンタルを支える「戻る」ボタン
長い計算の終盤で一文字だけ打ち間違えた際、もし「戻る」ボタンがなければ、すべてをリセットして最初からやり直す必要があります。JF-120GT-Nの「桁消し(戻る)」ボタンは、誤入力した箇所だけを消去できるため、焦燥感に駆られる試験会場での精神的支柱となってくれます。
道具を守る「最強の鎧」:専用ハードカバー
多くの実務電卓が剥き出しで販売される中、このモデルには専用のハードカバーが存在することがT係長にとってはとても嬉しい点でした。電験受験生のカバンは重い過去問集で満載です。カバンの中で液晶が圧迫されて壊れるリスクを、このカバーは完璧に防いでくれます。簿記時代から続く私の相棒が今も現役なのは、このカバーのおかげです。あまりにも大きすぎるというのはデメリットですが。T係長はポケットWi-Fiも一緒に入れていますので、なんだかんだちょうど良い使い方が出来ています。もちろん、実測で外側は 約23cm(W)×約15cm(H)×約8cm(D) と非常にデカいです(Amazonで記載されているのはインナーサイズです。ご注意ください。)。お手持ちのバッグの容量とご相談ください。

チルト液晶の光と影:実例から考える
JF-120GT-Nには液晶の角度を変えられる「チルト機構」があります。会場の照明が液晶に反射して数字が見えにくい時などに、角度を微調整するだけで視認性が劇的に改善します。自分の打鍵スタイルに合わせて、最も安定する角度を事前に見つけておくことが、実戦での安定感に繋がります。

「不要な機能」への賢い割り切り
JF-120GT-Nには「時間計算」や「税込/税抜」ボタンがありますが、電験では使いません。しかし、これらはメインの計算キーを邪魔しない位置に配置されています。この「基本に忠実で、邪魔をしない」設計こそが、プロの実務機として選ばれる理由ではないかと考えます。T係長は見積もり作業などもしますから、正直この「税込/税抜」は利用することはあります。
ここまで、T係長のおすすめの電卓「JF-120GT-N」をご紹介しました。
カシオ グリーン購入法適合電卓 12桁 ジャストタイプ JF-120GT-N エコマーク認定
- 見やすく、打ちやすい!
- ルート、戻る機能搭載!
ステータスか、実利か:超高級機「S100BN」と「ダウングレード品」
ここで、他の選択肢についても触れておきましょう。
【番外編】カシオの至宝「S100BN」
カシオには「S100BN」という、3万円以上する超高級電卓が存在します。アルミ削り出しのボディ、究極の打鍵感。正直、試験に合格するだけならここまでのスペックは不要ですね。
T係長は、「電験一種を受験するときは、ゲン担ぎに絶対にS100BNを買うぞ!」と密かに決めています。一種の重圧に勝つには、道具も最高級にしたいと考えています。ただし、配列が同じカシオなのに異なるのでちょっと考えものですね。話のネタとしてはアリかもしれないですが、コスパ重視の受験生にはおススメしません。電験は道具の値段ではなく、使い込んだ回数で決まるからです。
カシオ プレミアム電卓 ブラック ジャストタイプ 12桁 S100X-BK
- 硬質感を出す切削アルミニウムボディ!
- ルート、戻る機能搭載!
【比較】ダウングレード品「MW-12A-N」
逆に、より安価なミニジャストタイプ(MW-12A-Nなど)もあります。カシオの配列は継承していますが、専用ハードカバーがなく、チルト機能もありません。何より、本体が軽すぎて激しい打鍵時にデスクで滑ります。一生モノの試験に挑むなら、数千円を惜しんでJF-120GT-N以下のグレードにするのはT係長はおすすめしませんが、「弘法筆を選ばず」という考え方もあります。
カシオ グリーン購入法適合電卓 12桁 ミニジャストタイプ MW-12GT-N エコマーク認定
- コンパクトタイプ!
- ルート、戻る機能搭載!
おわりに
電卓は、合格を信じて日々キーを叩き続けるあなたの努力を支えるものです。T係長にとっても、簿記2級から電験二種まで、私を支えてくれたJF-120GT-Nの操作性と専用カバーの安心感は、過酷な試験を共に戦い抜くための最高の装備でした。これからもまだまだ一緒に歩むつもりです。皆様も、まずは実戦で最も信頼できるこの一台を手に取ってみてください。
最高の道具を手に入れたら、次は使いこなしです。電験で必須の「メモリ計算(M+/M-)」や、計算速度を2倍にする計算のテクニックは、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひチェックしてください。






