【徹底解説】電動弁の種類と選び方ガイド|用途別のおすすめも紹介

【徹底解説】電動弁 種類と選び方 機械制御

はじめに:電動弁とは何か、なぜ必要か

電動弁とは、モータやアクチュエータを用いて開閉動作を行うバルブの総称です。手動弁と異なり、自動化制御や遠隔監視が可能で、工場やビル設備、プラント制御に広く導入されています。特に流量制御や人材不足からの省人化の要請が強まる中で、電動弁の役割はさらに高まっています。

別記事でも紹介している電磁弁は小口径や全開・全閉の単純制御向けですが、電動弁は大口径や精密制御に強みを持ちます。電動弁は開閉に数秒から数十秒を要するのが一般的で、急閉による水撃や配管への負荷を避けられる点が特徴です。こうした特性は、安全性や設備寿命の延長にも寄与します。

この記事では、駆動方式やバルブ形式によって分類される電動弁を詳しく解説します。さらに各形式のメリットや運用時の注意点を紹介し、最適な選定、制御、運用に必須の知識が得られるようになっています。


電動弁の駆動方式による分類

電動式バルブアクチュエータ

電動バルブアクチュエータは、モータに電力を供給して動作するタイプです。一般的な開閉時間は数十秒~1分未満程度で、精密な制御や遠隔操作に向いています。高い制御精度と応答性を持ち、ポンプ制御、空圧回路や油圧回路の制御など幅広く利用されます。

メリットは高い制御性能と汎用性ですが、開閉速度は空気式や油圧式に比べると遅めです。突発的な緊急停止には不向きであり、負荷に応じたモーター容量を選ばないと過熱や動作不良を招く恐れがあります。導入時には電源容量や設置スペースも考慮が必要です。長所を活かすには、制御盤との信号連携を整理し、必要に応じて位置フィードバックやアラーム出力を組み合わせることが重要です。適切に設計すれば、大規模設備の安定稼働に大きく貢献します。

空気式バルブアクチュエータ

空気式アクチュエータは、圧縮空気を利用してバルブを駆動する方式です。開閉時間は2~5秒程度と非常に速く、電動式に比べ迅速な応答性を発揮します。シンプルな構造で信頼性が高く、コスト面でも比較的有利なため、化学プラントや一般産業設備で幅広く利用されています。

最大のメリットは安全性です。火花を伴わないため爆発性ガスや可燃性流体を扱う環境でも使用可能です。注意点としては、圧縮空気源の確保や配管敷設が必要なこと、またエア品質が悪いと弁作動が不安定になる点です。定期的なドレン抜きやフィルタ交換で安定した動作が得られます。開閉頻度が多い用途や緊急遮断が求められる場面では、空気式が最適解となります。

油圧式バルブアクチュエータ

油圧式アクチュエータは、加圧した油を動力源として使用し、大きな力を伝達できる方式です。開閉時間は10~30秒程度ですが、非常に高トルクを発揮し、重負荷のバルブや高圧系統の制御に適しています。建設機械や産業機械、航空機システムなどでも広く利用されています。

メリットは強大な駆動力と安定した制御性能であり、特に高粘度や粘性の大きな流体を扱う際に有効です。一方で、油漏れリスクやメンテナンス負担が大きく、環境面での管理が欠かせません。また油圧ユニットの設置スペースや配管整備も必要になります。運用時には定期的なオイル交換やシール点検を行い、漏油による設備汚染や火災リスクを防止することが必須です。高トルクと安全性を両立させるためには、油圧回路の設計と保守が重要な要素となります。

ステッピングモータ

ステッピングモータ式は、モータの回転角度を精密に制御できる方式です。開閉時間は用途によりますが、数ミリ秒単位で細かい制御が可能です。特に微小流量の調整や研究設備で重宝され、繊細な操作が求められる用途に適しています。

メリットは高精度な位置決めで、流量制御や温度制御系に強みを発揮します。また小型化されやすく、省スペース設置にも有利です。一方で、トルクが小さいため大口径や高粘度流体には不向きであり、制御回路もやや複雑になります。運用時には制御信号のノイズ対策や、電源瞬断時の位置保持に注意が必要です。バックアップ機構やリミットスイッチを併用することで、万一の停止時にも安全性を確保できます。

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電動弁のバルブ形式による分類

電動ボール弁

電動ボール弁は内部の球体を回転させて開閉する方式です。開閉時間は5~10秒程度と短く、気密性が高くシンプルな構造のため、メンテナンス性にも優れています。ON/OFF用途だけでなく、流量制御にも利用可能です。

メリットは耐久性と高いシール性能で、水、油、空気など幅広い流体に対応します。注意点としては、部分開度での長時間使用ではシート部が損耗しやすいため、調整用途では専用設計品を選ぶのが望ましいです。選定時には流体の種類や温度、粘度を考慮し、シート材質を適切に選ぶ必要があります。特に高温流体では特殊材質を用いた製品を採用するなど、耐久性を確保する工夫が重要です。


電動バタフライ弁

電動バタフライ弁は円盤状のディスクを回転させる構造で、大口径配管に適しています。開閉時間は10~40秒程度です。軽量でコストも抑えやすいため水・温水・油・空気・蒸気・スラリー等に幅広く利用されています。

メリットは構造がシンプルで軽量な点です。特に大口径配管では、ゲート弁に比べて大幅に小型化でき、設置スペースの削減に効果を発揮します。注意点はシール性がやや劣るため、完全遮断が必要な用途には不向きです。流体の方向によって弁座の摩耗が偏ることもあるため、定期点検や回転方向の考慮が必要です。また高速開閉時にはディスクにかかる水撃を抑えるため、適切な開閉速度の設定やインチング動作(ちょっと動いて、ちょっと止まる)などを行うことが求められます。


電動ゲート弁

電動ゲート弁は弁体を上下させて流路を開閉する方式で、全開・全閉用途に用いられます。開閉時間は30~60秒程度と遅めですが、大口径や高圧ラインで信頼性が高く、送水設備で多用されています。

メリットは圧力損失が小さく、全開時には流路を妨げない点です。一方で、調整弁として使用するのは不向きであり、部分開度での運転は弁座の摩耗や振動の原因となります。注意点として、開閉時間が長いため非常停止には向きません。選定時には必要な開閉頻度や緊急性を考慮し、場合によっては補助的にバイパス弁を設置することが望ましいです。


電動グローブ弁(玉形弁)

電動グローブ弁は弁体を上下させて流路断面を変化させ、精密な流量制御を可能にします。開閉時間は20~40秒程度で、蒸気、薬液、温水など幅広い流体制御に使用されます。

メリットは制御特性が良く、PID制御など高度な自動制御に組み込みやすい点です。一方で構造が複雑で、弁体やシートの摩耗によるメンテナンス頻度は比較的高くなります。運用時には弁特性(等比率、直線など)を流量特性に合わせて選定することが重要です。また、高温流体ではパッキン部の劣化が早いため、定期点検サイクルを短めに設定する必要があります。


電動ダイヤフラム弁

電動ダイヤフラム弁は弁体の代わりにダイヤフラムを押し下げて流路を遮断する方式です。開閉時間は10~20秒程度で、腐食性流体やスラリーを扱う設備で利用されます。

メリットは流体と金属部品が接触しにくいため、耐食性が高いです。また流路がシンプルなため閉塞や詰まりに強く、衛生管理が重要な製薬や食品分野でも多用されます。注意点はダイヤフラムの寿命であり、長期間使用による硬化や亀裂が発生する可能性があります。定期交換を前提にしたメンテナンス計画が不可欠であり、交換部品の供給体制も選定基準に加えることが必須です。

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まとめ:用途別の電動弁の選び方

電動弁は駆動方式とバルブ形式の両面から選定することが重要です。例えば、大口径配管ではバタフライ弁やゲート弁が有効であり、精密な流量制御が必要ならグローブ弁が適しています。腐食性流体にはダイヤフラム弁が選ばれることが多いです。

  • ON/OFF制御で大口径 → バタフライ弁
  • 精密制御 → グローブ弁
  • 腐食性流体 → ダイヤフラム弁
  • 高トルクが必要 → ゲート弁

電動弁は適切に選定すれば長寿命かつ安定稼働を実現できます。本記事を参考に、あなたの設備に最適な電動弁を検討してみてください。

この記事を書いた人
T係長

30歳で制御設計の世界に飛び込み、未経験から10年以上にわたり、プラント設備の制御設計・更新・改造案件に携わってきました。これまで100件を超える現場経験を通じて、設計図面から制御盤、シーケンス制御、保護協調まで幅広い電気技術を磨いてきました。
保有資格は「第二種・第三種電気主任技術者」「第二種電気工事士」「基本情報技術者」。資格の枠にとらわれず、現場で困っている人を助けられる技術者であることを大切にしています。
このブログ「誠電気設計」では、初心者や若手エンジニアの方にもわかりやすく、実務に役立つ知識を共有しています。学びを通じて、読者とともに成長し続けることを目指しています。

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