電験三種「計算問題」を解くための電卓操作と単位換算の最短テクニック

電験三種 電卓操作 最短テクニック 資格

はじめに:電卓を使いこなすことが合格の第一歩!

私たち電気エンジニアは、日々の業務で複雑な電気計算を行っているにもかかわらず、なぜか「電験三種」の計算問題を難しいと感じ、理論科目では時間に追われてしまいます。T係長自身、電験三種の理論科目に不合格だった経験があります。今振り返ると、その理由は、試験では持ち込み可能な電卓に制限があり、「正確」かつ「迅速」な回答を出す訓練をしていなかったことだと結論付けました。

私たちが実務で使用するような高度な機能(三角関数、複素数計算、微積分など)を持つ関数電卓は、電験三種の試験では使用できません。 使用が許可されているのは、ルート(​√)キー メモリ機能(MC,MR,M-,M+)などの基本的な機能を持つ電卓のみです。本記事では、この制限された機能を最大限に活用し、計算を攻略する最短テクニックを解説します。これで電験三種の合格を一つ確実なものにできます。T係長おススメの電卓は下記の記事でご紹介しています。


許容された電卓機能の限界と活用

電験三種では、実務で使用しているような関数電卓は使用できません。具体的には、三角関数 (sin,cos,tan)や、複素数計算、微積分、プログラム機能があるものは使用禁止です。もし試験会場で禁止されている電卓を使用していると見なされた場合、不正行為と判断されてしまいます。

電卓機能が限られている場合、以下の3つの機能の使用の習練度が、合否を分けます。電験三種の受験では、以下の3つの機能が備えられている電卓を選びましょう!

必須機能電験三種での用途攻略のポイント
ルートキー (​√)インピーダンス皮相電力の計算(例:R2+X2​)に必須です。メモリ機能とセットで使うことで、途中のメモを不要にします。
メモリキー(M+,M−,MR)途中の計算結果を保存し、後で呼び出す。計算の(カッコ)機能の代役として最重要です。分母と分子の計算結果を一時保管し、計算の優先順位を制御します。
「00」キー桁数の多い数値を素早く入力します。桁数の多い電圧や電力を素早く打ち込み、入力ミスを減らします。
定数計算演算記号を連続入力し、繰り返し入力を省力化できます。
例)3++=6, 3××=9
メモリ機能とセットで使うことで、一層のスピードアップが実現します。
「→(戻る)」キー誤入力の際に、全部を消さず、末尾1文字を削除できます。打ち直しの手間が劇的に減少します。

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カッコキーなしで複雑な式を解く!最短「電卓操作」テクニック

電験三種で使用する電卓では、関数電卓の用にカッコキーが使えないため、メモリ機能で計算の順序を強制的に制御することが計算の正確さとスピードを飛躍的に向上させる結果に繋がります。

テクニック①:二乗和のルート計算は「メモリ連携」を極める

インピーダンス \(Z= \sqrt{ R^2+X^2 }\)​ のような、複数の項のの平方根を求める計算は、以下の手順で処理します。

  1. \(R^2\) の計算と保存: R を入力し、× R を実行。結果を M+ で保存。
  2. \(X^2\) の計算と追加: X を入力し、× X を実行。結果を再度 M+加算保存。
  3. 合計の呼び出しとルート: MR で \(R^2+X^2\) の合計値を呼び出し、最後に √キーを押して答えを出す。

→ 途中の数値をメモ用紙に書き出す手間がなくなり、時間短縮と入力ミスの防止に直結します。
さらに、前述の定数計算をマスターすれば、さらに計算のスピードアップが可能になります。

例)\(\cos\theta = 0.8243 \) の時、\( \sin\theta \) を求めよ。
 \(\sin^2 \theta + \cos^2\theta = 1\) ですので、\( \sin\theta =\sqrt{1 – \cos^2\theta} \)とすれば、計算はできます。

  1. 1 を M+ で保存。
  2. 0.8243××を入力し、結果( = を押下)を M- で減算保存。
  3. MR で合計値を呼び出し、最後に √キーを押して答えを出す。

答えは0.56615(以下略)です。電験三種の計算には、√を使うことで、小数点以下が多く出てくる計算があります。その際、0.8243などの桁数の大きい数字を2回入力するのは、時間もかかりますし、誤入力のリスクもあります。この計算手法を身につけることが、合格への大きな一歩になります。

テクニック②:複雑な連続乗算は「M+」で積算

\( (A×B)+(C×D) \) のように項が分かれている計算は、それぞれの項をメモリに足し込む形で処理します。

  1. 第1項の計算と積算: A×B= を実行し、結果を M+ で保存。
  2. 第2項の計算と積算: C×D= を実行し、結果を再度 M+加算保存。
  3. 合計の呼び出し: MR で最終的な答えを出す。

テクニック③:分数計算は「分母と分子の完全分離」

では、次の場合はどうでしょうか? \( \displaystyle\frac{A+B}{C+D} \)​ のような分数式を解くには、分母と分子の計算を完全に分離し、それぞれをメモリに保存することが唯一の正確な手順です。

  1. 分子の計算(A+B)と保存: A+B= を実行し、結果を M+ で保存。
  2. 分母の計算(C+D): C+D= を実行する。
  3. 最終計算: 2の実行結果に続き、÷ MR = で答えを出す。

→ 関数電卓であれば、簡単に計算できますが、通常電卓ではそうはいきません。特に分数を計算する際には注意が必要です。上記の計算方法が最もミスの少ない確実な方法です。

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計算ミスを減らす「単位換算」の最短テクニック

単位換算ミスは、桁数ミスにつながり、試験で致命傷になります。電卓の「00」キーと合わせて、以下の指数相殺テクニックをマスターしてください。

テクニック④:同じ係数(10の何乗)は計算前に相殺

例: 90 kW の電動機容量を 6.6 kV の電圧で割る(定格電流を求める)。

\( 90 kW \div (\sqrt{3} \times​ 6.6 kV) \) → (kの部分を除す) \( 90 \div (\sqrt{3} \times​ 6.6 ) = 7.87 \) [A]​

  1. 分子・分母の k(キロ)は計算前に相殺します。
  2. 電卓に 90000 や 6600​ などの大きな数字を入れなくて済みます。

キロ同士、メガ同士など、同じ係数の単位は計算式上で消去できることを常に意識してください。余計な「0」の入力を省くことが、桁数ミスを防ぐ最善策です。また、キロとメガであれば、メガに\(10^3\)を掛けて、キロに統一して、先ほどと同様に消去すればOKです。

テクニック⑤:答えの単位は「指数の合計」で確認

例: DC 5 mA の電流を 4 kΩ の抵抗にかける時の電圧は?オームの法則 V=IR を利用します。

  • I の指数: \(10^{-3}\)
  • R の指数: \(10^3\)
  • 合計指数: \(10^{−3+3} = 10^0 = 1 \) (相殺できる!)
  • 電卓入力: 5×4=20
  • 答え: 20 V

指数部分を先に計算してしまうことで、入力の手間を大きく省略することが可能です。

まとめ:制限を力に変える電卓スキルが合格への鍵

私たち電気エンジニアにとって、日々の実務計算と電験三種の計算には、電卓機能の制限という大きなギャップがあります。高度な関数電卓が使用できないという現実は、多くの受験生が理論科目で時間切れとなる主要な原因です。しかし、この「制限」こそが、合格の鍵を握っています。電験三種の計算を攻略するために必要なのは、電卓のルートキー (√​)とメモリ機能(M+,M−,MR)という基本機能の熟練です。メモリ機能が計算順序を制御する唯一の手段となるからです。

テクニック①の二乗和のルート計算や、テクニック②の連続乗算の積算は、計算の途中経過をメモ用紙に書き出す手間をなくし、誤入力のリスクを劇的に下げます。さらに、テクニック④・⑤の単位換算は、桁数の多い「0」の入力を省くことで、計算スピードを飛躍的に向上させます。

これらのテクニックは、単なる裏技ではなく、正確さとスピードを両立させるための「計算ルーティン」です。実務の知識に加え、この電卓スキルを身につけることが、理論・電力・機械科目の計算問題で確実に得点し、合格を一つ確実なものにするための最短ルートです。今日から、あなたの「相棒」となる試験対応の電卓を使いこなし、合格に向けた訓練を開始しましょう!

T係長のおすすめの電卓は下記の記事で紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。

この記事を書いた人
T係長

30歳で制御設計の世界に飛び込み、未経験から10年以上にわたり、プラント設備の制御設計・更新・改造案件に携わってきました。これまで100件を超える現場経験を通じて、設計図面から制御盤、シーケンス制御、保護協調まで幅広い電気技術を磨いてきました。
保有資格は「第二種・第三種電気主任技術者」「第二種電気工事士」「基本情報技術者」。資格の枠にとらわれず、現場で困っている人を助けられる技術者であることを大切にしています。
このブログ「誠電気設計」では、初心者や若手エンジニアの方にもわかりやすく、実務に役立つ知識を共有しています。学びを通じて、読者とともに成長し続けることを目指しています。

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