アイソレータとディストリビュータの違いと選び方をわかりやすく解説!【DC4-20mA/1-5V対応】

アイソレータとディストリビュータの違いは何か? 計装

はじめに

水位や流量、温度、圧力、濁度などのアナログデータを取り扱う計装回路においては、アイソレータやディストリビュータを使用して必要な場所への信号のやり取りを行います。ここで使用されるアイソレータやディストリビュータはどうやって選べば良いのか、選定する際の注意点に関して解説します。

アイソレータとは?

アイソレータは、信号の電気的絶縁を目的とした装置です。主に送信器や制御機器間の信号伝送時に使用され、信号は維持しつつ、ノイズや接地電位差による干渉を防ぎます。一般的に光結合(フォトカプラ)が使われ、入力側と出力側の電気的な接続を断つことで、安全性と信頼性を向上させます。これにより、計装機器の誤動作や損傷を防ぎ、安定したプロセス制御が可能になります。私たちの電気設計の業界では、制御盤同士のやり取りに使用することが多いです。一種の責任分界点としても機能します。

ディストリビュータとは?

ディストリビュータは、差圧伝送器などの2線式のアナログ信号(主に DC4~20mA )を用いる機器に対して、電源の供給と信号の受信を同時に行う機器です。流量計などに付帯する信号変換器などの送信器は通常、外部からの電源供給が必要ですが、ディストリビュータを使用することで電源と信号線を 2本 のケーブルで共用できるため、計装工事費を大きく節約することが可能です。また、アイソレータ同様に信号を絶縁する機能を持つ製品も多く、計装回路全体の安全性や安定性を高められます。

スポンサーリンク

両者の共通点と違いを整理しよう

一旦、ここまでのお話を整理します。アイソレータディストリビュータは、いずれも計装信号を安全かつ安定に伝送するための機器ですが、目的と機能に違いがあります。アイソレータは主に信号の電気的絶縁を行う装置で、ノイズ対策や接地電位差の影響を防ぎます。電源供給機能を持ちません。一方、ディストリビュータは、2線式の送信器に電源を供給しつつ、その信号を受信して制御機器へ出力する機能を持ちます。電源供給機能を持ちます。

信号の種類による使い分け|DC4-20mA の基礎知識

上述のアイソレータやディストリビュータを使用するのは、アナログ信号を取り扱う計装回路の中です。この計装回路の中では、統一信号として DC4-20mA が用いられます。これは国際電気標準化会議(IEC)によって取り決められたものです。

上記信号が標準となったのには主に 3つ の理由があります。1つ目は直流電流信号はノイズに強い事です。2つ目は、電源供給が可能であることです。ディストリビュータを採用し、工数を削減することが可能となります。3つ目は、長距離伝送でも信号が減衰しにくいことです。

例えば、 0.00~7.00m のポンプ井水位を DC4-20mA で表すと下記の表となります。

0.00m4mA
1.00m6.28mA
(= 16/7 + 4)
3.50m12mA
5.0015.43mA
(= 16/7 x 5 + 4)
7.00m20mA

0.00m が DC4mA になることに注意が必要です。これは「断線や停電などの信号が来ていない状態」と「数値がゼロ」の点を区別するためです。例えば、薬品注入量を 0~20mA で表した場合を考えてみます。この場合、断線してしまっても 0mA となります。これをコントローラ(制御の脳みそ)では「薬品注入量がゼロ」と捉えてしまい、注入量増加指令を出し、薬品の過注入状態となってしまう危険性があります。このような事態を避けるために、プラントの電気設備設計においては、 DC4-20mA を統一信号として使用しています。

信号の種類による使い分け|DC1-5V の基礎知識

DC1-5V も統一信号として用いられます。考え方は DC4-20mA と同様です。例えば、 0.00~7.00m のポンプ井水位を DC1-5V で表すと下記の表となります。

0.00m1V
1.00m1.57V
(= 4/7 + 1)
3.50m3V
5.003.86V
(= 4/7 x 5 + 1)
7.00m5V

DC1-5V を使用するメリットは並列接続が可能なことです。DC4-20mA を使用する場合には、全ての機器は直列接続となります。複数の機器を接続する場合、どこか1ケ所でも故障が起きると、信号の入出力が全てなくなってしまいます。一方、 DC1-5V は並列接続が可能です。そのため、複数の機器を接続し、どこか 1か所 が故障や断線しても、その他の機器の入出力には影響がありません。信頼性も高まり、保守も容易です。

DC4-20mAは全ての機器を直列に接続します。
全ての機器を直接に接続した場合、1か所が故障すると、全ての機器で信号の入力がなくなります。
DC1-5Vは全ての機器を並列に接続します。
機器を並列に接続した場合、1か所が故障しても、他の機器の信号入力に影響はありません。

複数の機器を接続する場合には「許容負荷抵抗」に注意が必要です。並列接続によって抵抗(インピーダンス)が小さくなりすぎると、計測誤差が大きくなり、正しくアナログ信号が測定できなくなってしまいます。

このようなそれぞれの信号のメリットやデメリットに鑑みて、現場機器から制御盤や計装盤への信号のやり取りは 1:1 の DC4-20mA で取り合い、盤内はアイソレータやディストリビュータで、 DC1-5V に変換して使用することが一般的です。

直列回路、並列回路に関しては ここから(後日追記) ご確認ください。

スポンサーリンク

まとめ

アナログ信号を扱う計装回路では、アイソレータやディストリビュータが信号の絶縁や安定伝送に重要な役割を果たします。アイソレータはノイズや電位差対策のために電気的絶縁を行い、ディストリビュータは2線式送信器に電源供給と信号伝送を同時に行います。プラントの世界ではアナログ信号をDC4-20mAとDC1-5Vという 2種類 の統一信号で扱うことが多いです。前者はノイズ耐性と長距離対応に優れ、後者は並列接続が可能で保守性が高いです。用途に応じた使い分けが重要となることを覚えておきましょう。

この記事を書いた人
T係長

30歳で制御設計の世界に飛び込み、未経験から10年以上にわたり、プラント設備の制御設計・更新・改造案件に携わってきました。これまで100件を超える現場経験を通じて、設計図面から制御盤、シーケンス制御、保護協調まで幅広い電気技術を磨いてきました。
保有資格は「第二種・第三種電気主任技術者」「第二種電気工事士」「基本情報技術者」。資格の枠にとらわれず、現場で困っている人を助けられる技術者であることを大切にしています。
このブログ「誠電気設計」では、初心者や若手エンジニアの方にもわかりやすく、実務に役立つ知識を共有しています。学びを通じて、読者とともに成長し続けることを目指しています。

T係長をフォローする
計装
シェアする
T係長をフォローする
タイトルとURLをコピーしました