PLC入力の誤動作を防ぐ!微小負荷とチャタリング対策のあれこれ

PLCの入力誤動作対策は?【微小負荷など】 計装

はじめに

PLCの入力信号は工場や設備の安定稼働を左右する重要な要素です。この入力信号は一般的に「微小負荷」領域で動作します。しかし、センサなどの接点が微小負荷対応していないために、信号の安定性や信頼性に大きな影響を与えることがあります。特にチャタリングや接触不良といったトラブルは、運転中の設備に大きな支障をきたします。本記事では、電気の制御回路設計のプロの視点から、PLCの微小負荷に関する問題とその対策について詳しく解説します。

微小負荷とは?

一般に「負荷」とは電気的に消費される電力のことを指しますが、PLC入力で問題となる「微小負荷」は数mA程度の電流しか流れない回路のことを指します。これらは電流が非常に小さいため、入力に用いる接点に付着した酸化膜を破壊するだけの電流が流れず、接触抵抗が高くなりやすい特徴があります。目安として 48V以上 かつ 100mA以上 とされることが多いです。

リレーやタイマなどのメーカの資料には「最小適用負荷」という項目があることが多く、例えば日立HKシリーズでは 20V5mA、富士電機HH54P(単接点)では 1V1mAなどの具体的な数値で示されます。これはその接点が安定して信号を伝達できる最小の条件を意味し、それ以下の電流では接点が酸化しやすく誤動作の原因になります。初心者が見落としがちな部分ですが、この仕様を理解することがPLC入力設計の第一歩となります。

PLC入力回路は高インピーダンスであるため、負荷として接点に流れる電流は非常に小さくなります。そのため通常のPLCに流れる電流では酸化膜が破壊されず、接触抵抗が大きくなってしまい、長期的に信号が導通しなくなってしまう状態が発生することがあります。

スポンサーリンク

微小負荷対策不備がPLC入力に与える影響

PLC入力で微小負荷が問題になる典型例は「信号の欠落」や「誤検出」です。例えばリレーやスイッチの接点が酸化膜で覆われると、導通抵抗が増えて電圧降下が大きくなり、PLC側で「オン」と認識されなくなることがあります。この現象は特に直流入力で顕著であり、交流入力に比べて自己クリーニング作用が弱いため注意が必要です。「接点は閉じているのにPLCが反応しない」や「接点動作が不安定になりチャタリング(詳細は後述)が起きる」といったトラブルが起き、リレーの動作表示がONであるため、原因特定に時間を要するケースが少なくありません。この現象の怖いところは、初期納入段階では問題なかったとしても、長期運用の中で徐々に発生するという点です。こうしたトラブルは設備停止や誤アラームに発展します。設計段階で接点容量などをしっかりと確認する必要があります。

チャタリングとは?

チャタリングとは、接点がオン・オフを高速で繰り返す現象のことを指します。PLCの入力回路は高速応答するため、このチャタリングを誤って複数回の入力と認識してしまいます。例えば、カウントアップ回路が誤動作したり、MCが入り切りを繰り返し電動機に悪影響を及ぼしたりと現場では最も避けたいトラブルです。

上述のような接点不良以外にも、現場で多い例は、押しボタンスイッチやリミットスイッチを直接PLCに接続してしまった場合にもチャタリングは発生することがあります。人間の感覚では「押した」「離した」という単純な動作でも、PLCは数十回のオンオフを検出してしまうことがあります。

そのため、ソフト的にタイマを介してチャタリング除去機能を持たせる対策を講じます。とは言え、根本的な解決にはなりませんので、最小適応負荷を確認し、適応外の場合にはハード的にリレーを介した接点でPLC入力を行います。現場機器の接点はハード回路設計時には詳細不明なことも多いので、ひとまずリレーで接点を受けておくのが無難です。

タイマ接点がPLC入力に適さない事例

現場でよく見られる誤用が「タイマ接点をそのままPLC入力に接続する」ケースです。多くのタイマリレーは出力接点が大負荷を前提としており、定格がAC250V 3Aなど比較的大きな値で記載されています。例えばオムロンのH3CRの最小適応負荷は DC5V,10mA です。しかしこのような接点は微小負荷領域での動作が保証されておらず、PLC入力の数mA程度では安定した導通を確保できません。

実際の事例として、タイマ接点を介してPLCにスタート信号を入力したところ、PLCが反応せず運転シーケンスが立ち上がらないトラブルが発生した例があります。原因を調査すると、接点に流れる電流が小さすぎて酸化膜が破壊されず、信号が入らなかったのです。このような現象は新品時には問題なくても、数か月後や数年後に突然起こることが多く、設備の信頼性を大きく損ねます。

メーカもタイマの仕様書に「最小適用負荷」を注意書きとして記載しており、PLC入力として使用する場合は必ず確認が必要です。対策としては、リレー接点をPLC入力に信号に使用することが推奨です。

微小負荷と信頼性の確保方法

微小負荷に対応するためには、まず接点材質に注目することが重要です。一般的なシングルと言われる接点は大電流に強い一方、微小負荷では酸化膜による不導通が起こりやすくなります。これに対してダブルやクロスバ・ツイン接点のような特殊合金接点は酸化しにくく、数mA以下の領域でも安定した導通を確保できます。PLC入力にはダブルやクロスバ・ツイン接点を選定するのが望ましいでしょう。

その他、既に納入した設備を改良することになった場合には、停電時間の制約から大きな回路変更が難しい場合もあります。そのような場合には、接点入力回路に分流するように抵抗を挿し、微小負荷対応でない接点に大きな電流を流すことも可能です。

スポンサーリンク

まとめ

本記事では、PLC入力で問題となる微小負荷と、それに伴うチャタリングや接点不良のリスクについて解説しました。PLC入力は高インピーダンスのため流れる電流が小さく、接点の酸化膜を破壊できず信号欠落や誤検出を招くことがあります。特に直流入力やタイマ接点使用時に顕著で、長期的に設備信頼性を損ないます。対策として、接点仕様の最小適用負荷を確認し、必要に応じてリレーを介すことや、微小負荷対応の接点材質を選定することが有効です。設計段階での配慮が安定稼働の鍵となります。

この記事を書いた人
T係長

30歳で制御設計の世界に飛び込み、未経験から10年以上にわたり、プラント設備の制御設計・更新・改造案件に携わってきました。これまで100件を超える現場経験を通じて、設計図面から制御盤、シーケンス制御、保護協調まで幅広い電気技術を磨いてきました。
保有資格は「第二種・第三種電気主任技術者」「第二種電気工事士」「基本情報技術者」。資格の枠にとらわれず、現場で困っている人を助けられる技術者であることを大切にしています。
このブログ「誠電気設計」では、初心者や若手エンジニアの方にもわかりやすく、実務に役立つ知識を共有しています。学びを通じて、読者とともに成長し続けることを目指しています。

T係長をフォローする
計装
シェアする
T係長をフォローする
タイトルとURLをコピーしました