【現場のプロが解説】パルスジェネレータ、タコジェネレータ、減速機の役割と回転数計測の基本

パルスジェネ?タコジェネ?減速機? 計装

はじめに:あなたは「何のために」回転数を測りますか?

電動機の回転数を測定する目的は、単なる数値の記録にとどまりません。例えば、製造装置の速度を一定に保つことや、製品の寸法精度を確保する品質管理に直結します。また、設備の異常兆候を早期に検知し、予知保全に役立てることも可能です。したがって、目的を誤ると不要に高価なシステムを導入したり、逆に必要な精度を満たせずトラブルを招くリスクがあります。

回転数の計測には「どの地点で測るのか」「どんな方法で測るのか」が重要です。モータそのものの挙動を見たいのか、それとも減速機を通した後の実際の動作を把握したいのかで、センサの種類や設置位置が変わります。さらに、アナログかデジタルか、必要な精度やノイズ耐性といった技術的要素も考慮すべきです。本記事では、タコジェネレータとパルスジェネレータの違い、そして測定位置の選択が設備運用にどう影響するかを専門的視点で解説します。

最適な計測方法を選ぶことは、単に正しい回転数を知るためではなく、安全で効率的な生産活動を実現するための第一歩です。初心者から中級者、さらには設計者や設備保全担当者まで、現場で役立つ知識を整理して紹介していきます。あなたの現場に最適な回転数計測のあり方を一緒に考えてみましょう。


回転数センサの基本:タコジェネレータとパルスジェネレータ

回転数計測の要となるのが回転数センサであり、代表的な方式に「タコジェネレータ」「パルスジェネレータ」があります。タコジェネレータはモータの回転を電圧信号として取り出す仕組みで、アナログ的に直感的な監視が可能です。一方でパルスジェネレータは回転に応じたパルス(1000回転1パルス等)を出力するデジタル方式で、高精度な位置決めや制御に適しています。両者は構造も用途も異なり、選択を誤るとシステム性能に直結するため理解が不可欠です。

タコジェネレータ、特にDCタコジェネは回転数に比例した電圧を発生させるため、回転速度をそのままアナログメータで確認できます。シンプルな制御回路に直結でき、旧来の設備でも扱いやすいのが利点です。ただし、アナログ信号は外部ノイズの影響を受けやすく、微細な速度変動を正確に読み取るには限界があります。したがって、高速回転や精密制御が要求される分野では不向きとなります。

これに対してパルスジェネレータ(別名エンコーダ)は、1回転あたりのパルス数が決められており、そのカウントをデジタル処理することで高精度の回転数検出が可能です。工作機械やロボットの関節駆動など、位置決めなどの精度が求められる場面で不可欠です。また、ノイズに強く長距離伝送にも適しているため、現代の制御システムでは標準的に採用されています。このように、どちらの方式も長所と短所を持ち、用途に応じた適切な使い分けが求められます。

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減速機とは?回転数とトルクを変換する重要な役割

減速機とは、モータの高速回転を必要な速度に落とし、同時にトルクを増大させる機械要素です。一般的な電動機は小型でも毎分数千回転と高速で回るため、そのまま機械に直結すると速度が速すぎて使えません(一般的な商用50Hz4極モータであれば1500min-1)。そこで減速機を介することで、例えば毎分1500回転のモータを毎分50回転程度に落とし、かわりに出力トルクを大きくして実用的に利用できるのです。減速機とは、モータの高速回転を必要な速度に落とし、同時にトルクを増大させる機械要素です。例えば毎分1500回転のモータを毎分100回転程度に落とし、かわりに出力トルクを大きくして実用的に利用できるのです。詳細はここでは長くなりますので、また改めて解説記事を書きます。

回転数の測定という観点では、減速機を通すかどうかで「見るべき回転数」が変わります。モータ軸の回転数はモータ自身の状態監視に有効ですが、減速機出力軸は実際に駆動する機械の動きを示すため、速度制御や位置制御では欠かせません。つまり、減速機は単なる速度変換装置にとどまらず、回転数計測位置の選定に直結する重要な要素なのです。


計測はどこで行うべきか?電動機軸 vs. 減速機出力軸

先述のように回転数を測定する際、センサをどの位置に設置するかによって得られる情報が大きく異なります。モーター軸で測るか、減速機の出力軸で測るかは、計測の目的によって明確に分ける必要があります。両者は単なる設置位置の違いにとどまらず、得られる信号の意味や精度、保守性にも影響を与えるのです。

モータ軸での測定は、モータ自身の動作を監視する目的に適しています。例えば、過負荷による回転低下やベアリング摩耗による異常を早期に検知できます。また、減速機を介さないため、バックラッシュ(逆動作の際の不感帯のようなガタ)や摩擦の影響を排除し、モータ固有の回転数を直接測定可能です。そのため、電動機単体の性能診断や、異常検知において信頼性の高いデータが得られます。

一方、減速機出力軸での測定は、実際の機械動作を制御する上で有効です。コンベア搬送速度の一定化や、ロボットアームの正確な停止位置制御といった、製品品質や工程安定に直結する場面で利用されます。ここではモータ側の情報よりも、最終的な出力動作が重要であり、制御要求に即した監視が可能です。つまり、モータ自体の健康診断を目的とするならモータ軸実運用の制御の適正化を目的とするなら減速機出力軸という選択が最適解となります。


パルスジェネレータの配線【基礎】

パスすジェネレータ(エンコーダ)は、モータの回転速度や位置を検出するために用いられる代表的なセンサです。出力は一般的に「A相」「B相」「Z相」と呼ばれるパルス信号で構成されます。A相とB相は90度位相がずれており、回転方向を判別するために利用されます。例えば、A相が先行していれば正転、B相が先行すれば逆転と判断できます。Z相は1回転あたり1パルスだけ出力される基準信号で、位置のリセットや原点合わせに使われます。

しかし、パルスジェネレータから直接得られるパルス信号はPLCや上位システムでそのまま扱いにくい場合があります。そこで登場するのが「パルス変換器」です。典型的な接続例としては、まずエンコーダのA/B/Z相信号をパルス変換器に入力します。その後、変換器は複数の出力を生成します。出力は一般的に「4〜20mA信号」に変換され、速度計測用にアナログ入力モジュールや計器へ送られます。また、出力をパルスとして同様の信号を複数のPLCに供給することも可能ですが、入力側のPLCはパルス入力をできるための仕様を満たすものでなければなりません。その他、出力としてRS-485通信などを利用して上位システムにデジタルデータを送信することも可能です。

このように、パルスジェネレータとパルス変換器を組み合わせることで、現場の信号を用途に応じた形式に変換し、PLCや計器、監視システムへ効率的に伝送することが可能になります。結果として設備全体の信頼性や拡張性が高まり、メンテナンスや監視が容易になるのです。

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まとめ:最適な計測システムを選び、安全で効率的な運転を実現する

回転数の計測は、単なる数字の取得ではなく、設備の安定稼働や品質確保、さらには保全活動の高度化に直結する重要な要素です。測定の目的を誤ると、過剰なシステム導入や逆に精度不足によるトラブルを招きかねません。そのため、「なぜ計測するのか」「どこで計測するのか」「どの方式で計測するのか」を明確にすることが欠かせません。

タコジェネレータはシンプルで直感的な監視に適し、アナログ計測として根強く利用されています。一方、パルスジェネレータは高精度な制御に欠かせないセンサであり、現代の自動化設備に広く普及しています。さらに減速機の有無や設置位置によっても、得られる情報の意味は大きく変化します。モータ軸は機器の健全性監視に、減速機出力軸は実際の動作制御に役立つなど、現場のニーズに応じた選択が求められます。

最終的に重要なのは、自社の装置や生産プロセスに本当に必要な計測を見極めることです。最適なセンサ方式と設置位置を選ぶことで、過不足のない制御が可能となり、設備の信頼性や効率は大きく向上します。本記事で紹介した考え方を踏まえ、皆さまの現場に合った回転数計測の姿を検討していただければ幸いです。

この記事を書いた人
T係長

30歳で制御設計の世界に飛び込み、未経験から10年以上にわたり、プラント設備の制御設計・更新・改造案件に携わってきました。これまで100件を超える現場経験を通じて、設計図面から制御盤、シーケンス制御、保護協調まで幅広い電気技術を磨いてきました。
保有資格は「第二種・第三種電気主任技術者」「第二種電気工事士」「基本情報技術者」。資格の枠にとらわれず、現場で困っている人を助けられる技術者であることを大切にしています。
このブログ「誠電気設計」では、初心者や若手エンジニアの方にもわかりやすく、実務に役立つ知識を共有しています。学びを通じて、読者とともに成長し続けることを目指しています。

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