初心者向け|電磁弁(ソレノイドバルブ)の原理を解説!:AC/DC選定方法もしっかり理解

電磁弁の動作原理を図解:選定方法も合わせて解説 機械制御

はじめに

「電磁弁」も「ソレノイドバルブ」も同じ意味の言葉です。この記事内では「電磁弁」という呼称を使用します。制御機器の現場でよく利用される機械です。しかし、初心者にとってはその違いや仕組み、選定方法が分かりづらいものです。本記事では、電磁弁の動作原理や構造をわかりやすく解説していきます。加えて、AC/DC の違いや配管・配線の注意点など、現場で役立つ情報を電気プロ目線で丁寧に紹介します。

電磁弁の原理を図解でわかりやすく解説

電磁弁は、電磁石(ソレノイド)でバルブを動かす機器です。電気信号を与えることで、内部のコイルが磁力を発生させます。この磁力で可動子(プランジャ)が引き寄せられ、流体の通路が開閉します。
空気や水、油などの流体を、電気で制御するのが基本的な役割です。

コイルに電気が通っていない場合弁は全閉となっている。
※電気が通っていない場合に開となる弁もあります。
コイルに電気が通るとプランジャが引き上げられ、弁が全開となる。
※電気が通る場合に閉となる弁もある。

誘導電動機(モータ)で駆動する電動弁に比べて、コンパクトで動作時間が 0.1sec 程度と非常に高速です。一方で、全開か全閉の2つの動作状態しかなく、電動弁のように開度調整が出来ません。どちらかが劣っているわけではなく、目的に合わせて適切なものを使用する必要性があるということです。

電磁弁はどこで使われるの?

電磁弁は工場だけでなく、私たちの生活の中にも意外と多く使われています。たとえば、洗濯機の給水制御自動販売機の飲料供給トイレの自動洗浄など、身近な機器の中で水や空気の流れを電気でコントロールしています。

もっと実感しやすい例として、「駅の改札機」を思い浮かべてください。改札機の扉は、タッチ操作に応じてスッと開きます。これはセンサーが反応すると電磁弁が作動し、シリンダーに空気を送って扉を押し出すという仕組みです。

電磁弁が行うのは、流体(空気や水)の「通す」「止める」の切り替えです。たとえばエアシリンダと組み合わせた場合、電磁弁が空気の流れる方向を切り替えることで、シリンダーが伸びたり縮んだりします。これにより、工場では物を押し出す、掴む、移動させるといった自動作業が実現されます。加えて、「空気」を使うため爆発性がなく、安全性の高い用途に適しています。

このように電磁弁は、センサーや制御回路と連動して自動的に動作するのが特徴です。複雑な操作を人手で行わず、正確な動作を自動で繰り返すための、非常に重要なパーツなのです。

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電磁弁とソレノイドバルブは違うのか?

ブログ冒頭にも記載した通り、「電磁弁」と「ソレノイドバルブ(エア弁)」は同じ意味です。それでも現場では、用途や対象流体によって、多少の違いを持った言葉として使われる場合もあります。以下は一般的な分類例です。

主な用途使用流体
電磁弁給水設備、冷却水制御水、油、スチーム
ソレノイドバルブ空気圧制御、エアシリンダ圧縮空気

現場では「ソレノイドバルブ(エア弁) => エア制御(空圧制御)」のイメージです。エア制御(空圧制御)とは、電気信号で空気の流れを切り替える仕組みを利用し、エアシリンダと組み合わせ、弁が開くと圧縮空気を送り込み、シリンダを伸縮させて物を動かす制御方法です。

初心者が迷わない!電磁弁の選び方の基本

電磁弁の選び方で重要なのは「用途・流体・駆動方式」の 3点 です。

①用途に合わせた選定

電磁弁を選ぶ際、まず重要なのは「用途」を明確にすることです。例えば、水道設備、空気制御、工場の自動化ラインなど、使う場所や目的によって適した電磁弁は変わります。開・閉を頻繁に切り替える用途であれば、応答速度の速い電磁弁が適しています。一方、長時間一方向動作(ずっと開/閉)する用途なら、消費電力の少ない常時開/閉型が便利です。また、配管サイズや接続方法も、用途に応じて選ぶ必要があります。まずは「何を」「どのくらいの頻度で」「どのように」制御するのかを明確にし、それに適した電磁弁を選ぶことが基本です。

②流体に合わせた選定

次に重要なのは「流体」の種類です。電磁弁は流すものによって材質や構造が異なります。水や空気用の電磁弁は一般的ですが、油や蒸気、薬品など特殊な流体を扱う場合は、耐食性や耐熱性に優れた材質を選ぶ必要があります。例えば、薬品を流す場合はテフロンやSUS製が多く使われ、蒸気を流す場合は高温に耐える構造が求められます。また、流体の粘度や清浄度も重要です。ゴミや異物を含む流体の場合は、ストレーナ付きの電磁弁を選ぶと安心です。このように、流体の性質をしっかり確認し、それに適した電磁弁を選びましょう。

③駆動方式に合わせた選定

最後に「駆動方式」の確認が必要です。電磁弁は主に電気信号で動作しますが、電源電圧や作動方式の違いを理解することが大切です。電源は「AC(交流)」と「DC(直流)」があり、設備の電源に合わせたものを選びます。さらに、作動方式には「直動式」と「パイロット式」があります。現場の電源、配線状況や必要な流量・口径に応じて、最適な駆動方式を選ぶことで、安全で効率的な運用が可能になります。

● ACタイプの特徴

AC(交流)電源の電磁弁のメリットは、動作開始が速く、大きな電磁力を発生しやすい点です。一方、長時間通電するとコイルが発熱しやすいデメリットがありますが、電源が取りやすく、消費電力も少なく、ON/OFF制御が簡単なため、多くの制御システムで採用されています。

● DCタイプの特徴

DC(直流)電源の電磁弁は、主に DC12V や DC24V で動作します。特徴は動作時のコイル音や振動が少なく、静かで安定した制御ができる点です。交流タイプに比べて発熱が少なく、連続通電にも向いています。ただし、ACタイプに比べて応答速度がやや遅く、大きな電磁力を得るには大きな電流が必要となる点がデメリットです。主にバッテリー駆動の設備や、騒音を嫌う精密機器で使用されます。

●直動式の特徴

直動式電磁弁は、電磁石の力だけでバルブを直接開閉する仕組みです。構造がシンプルで、小口径や低流量の配管に適しています。電源を入れるとすぐに動作し、応答速度が速いのが特徴です。最低作動圧力が不要なため、真空や低圧ラインでも使用可能です。一方で、大流量や高圧の制御には向いておらず、消費電力も比較的高めです。小型機器や精密制御用途に多く採用されています。

●パイロット式の特徴

パイロット式電磁弁は、電磁石で制御する小さなパイロット弁と、流体の圧力を利用する主弁で動作します。少ない電力で大口径や高流量の制御が可能で、省エネルギーなのが特長です。ただし、最低作動圧力が必要で、真空や低圧では動作しません。応答速度は直動式に比べやや遅く、構造が複雑になります。主に空圧設備や工場の配管など、大流量を扱う現場で広く使われています。

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まとめ

電磁弁は、身近な生活や工場で流体を自動制御する重要な機器です。本記事では、原理や用途、選定ポイントを初心者にもわかりやすく解説しました。正しい選び方を知ることで、安全で効率的な制御が実現できます。ポート数については別の機会にお話をします。

この記事を書いた人
T係長

30歳で制御設計の世界に飛び込み、未経験から10年以上にわたり、プラント設備の制御設計・更新・改造案件に携わってきました。これまで100件を超える現場経験を通じて、設計図面から制御盤、シーケンス制御、保護協調まで幅広い電気技術を磨いてきました。
保有資格は「第二種・第三種電気主任技術者」「第二種電気工事士」「基本情報技術者」。資格の枠にとらわれず、現場で困っている人を助けられる技術者であることを大切にしています。
このブログ「誠電気設計」では、初心者や若手エンジニアの方にもわかりやすく、実務に役立つ知識を共有しています。学びを通じて、読者とともに成長し続けることを目指しています。

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