内線規程対応!設備不平衡率の計算方法と是正対策【高圧・低圧のプロ必見】

内線規程対応!設備不平衡率 計算と是正 受変電

はじめに:設備不平衡率とは?

電気設備設計者の皆さんは、日々の業務で「設備不平衡率」という言葉を耳にする機会は多いのではないでしょうか。これは、三相電源がバランスよく使われているかどうかを表す指標です。設備不平衡率が小さいと、バランスよく使うことができているというこです。一方で、不平衡率が大きい状態を放置してしまうと、不平衡により異常な電流が流れてしまい、配電系統の電圧変動を引き起こしたり、自設備内の機器が誤作動したり、損傷したり、さまざまなトラブルを引き起こします。そのため、内線規程ではこの不平衡率に対し、厳格な上限値が定められています。この記事では、設備不平衡率の重要性から、具体的な計算方法、内線規程に定められた例外規定、そして高圧・低圧それぞれの需要家における実践的な是正対策までを分かりやすく解説します。


高圧需要家向け:内線規程で定められた不平衡率と是正方法

なぜ高圧需要家は不平衡率を意識すべきなのか

高圧受電設備を導入している事業所は、単相負荷と三相負荷が混在していることが一般的ですが、使用電力がそもそも大きいため、各相への負荷の偏りが起こりやすく、不平衡率の問題が顕在化しやすい傾向にあります。内線規程1305では、この設備不平衡率の上限を30%以下と定めています。この基準値を超えてしまうと、電力会社からの是正指導が入ったり、最悪の場合、受電契約の解除や供給停止といった深刻な事態を招く可能性があります。電力の安定供給と安全な設備運用のためにも、不平衡率の管理は非常に重要です。

高圧需要家における不平衡率の計算方法

不平衡率の計算は、まず三相負荷と単相負荷を区別することから始めます。計算に用いるのは、各相に接続された負荷の容量(kVA)です。kWのものは、最初にkVAに統一しましょう。計算式は非常にシンプルで、最大単相負荷容量と最小単相負荷容量の差を、その総負荷設備容量合計で割ることで求められます。

不平衡率(%) = { (最大単相負荷容量 – 最小単相負荷容量) / 総負荷設備容量の1/3 } × 100

例えば、R-S相に単相10kVA、単相5kVA、S-T相が単相5kVA、単相5kVA、T-R相が単相15kVA、三相負荷60kVAの場合、単相最大はT-R(R-S)相15kVA、単相最小はS-T相10kVA、総負荷容量は100kVAです。この数値を計算式に当てはめると、下記のようになります。

( 15 – 10 ) / ( 100 ÷ 3 ) × 100 = 15.0%

内線規程の基準値である30%以内におさまっているため問題ありません。この計算例のように、まずは、ご自身の設備が基準を満たしているか確認しましょう。次に、下記の事例を考えて見ましょう。

例えば、R-S相に単相15kVA、単相5kVA、S-T相が単相5kVA、単相5kVA、T-R相が単相25kVA、三相負荷60kVAの場合、単相最大はT-R相25kVA、単相最小はS-T相10kVA、総負荷容量は115kVAです。この数値を計算式に当てはめると、下記のようになります。

( 25 – 10 ) / ( 115 ÷ 3 ) × 100 = 39.1%

内線規程の基準値である30%以内を超過していますので、是正措置が必要となるかもしれません。

内線規程における例外規定の重要性

内線規程には、不平衡率30%の原則に対するいくつかの例外規定が設けられています。これは、すべてのケースで一律に30%以下にすることが、現実的に困難であったり、過剰な設備投資につながったりすることを考慮したものです。例外規定を正しく理解することは、適切な設備計画を立てる上で非常に重要です。

まず、一つ目の例外は、高圧受電において、単相負荷容量の最大と最小の差が100kVA以下である場合です。この場合、負荷の偏りが系統全体に与える影響が小さいと判断され、不平衡率の制限を受けないことがあります。この規定は、単相負荷が全体の電力消費量に対してごくわずかである場合に適用されます。先ほどの超過例もこのパターンに該当します。

二つ目の例外は、電力会社と協議し、承諾を得た場合です。工場などで一時的に電気炉などの大きな単相負荷を使用する場合や、負荷の性質上、常に不平衡が生じるような特殊な設備を持つ場合などがこれに該当します。事前に電力会社に相談した上で、その影響が電力系統に許容範囲内であると認められれば、30%を超える不平衡率でも問題とされないことがあります。

これらの例外規定は、設備不平衡率の問題を解決するための柔軟な選択肢を提供してくれます。しかし、これらの規定に安易に頼るのではなく、まずは原則である30%以下を目指すことが、安定した設備運用の基本であることを忘れてはいけません。

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高圧需要家における実践的な是正方法:スコットトランスの活用

もし計算の結果、不平衡率が30%を超えてしまった場合は、速やかに是正措置を講じる必要があります。最も基本的な対策は、複数ある各相の単相負荷容量が均等になるように再配置することです。R-S、S-T、T-Rで順繰りに電源を取るだけでもかなり改善されます。

これらの対策に加えて、不平衡問題を根本的に解決するための有効な手段として、スコットトランスの導入が挙げられます。スコットトランスは、三相電源から二組の単相電源を取り出すことができる特殊な変圧器です。 この二組の単相電源は、互いに90度の位相差を持つため、それぞれに単相負荷を接続することで、三相電源全体としては平衡状態を維持することが可能になります。これにより、主変圧器の過熱や電圧変動を防ぎ、設備不平衡率を大幅に改善する効果が期待できます。

スコットトランスは、導入コストが高く、専門的な知識が必要なため、一般的な是正策としては敬遠されがちです。しかし、恒常的に大きな単相負荷が存在する場合や、既存の負荷の再配置が物理的に困難な場合には、長期的な視点から見て非常に有効な投資となります。負荷の性質を考慮し、最適な是正策を検討することが重要です。


低圧需要家向け:三相電源における不平衡負荷の注意点と対策

低圧需要家でも不平衡率は関係ある?

「うちは低圧だから関係ない」と思っていませんか?実は、低圧受電でも単相三線式や三相4線式単相三線式の電源を利用している場合、単相負荷の偏りによって不平衡が発生し、電圧降下や機器トラブルの原因となることがあります。特に、動力(三相)と電灯(単相)を同じ電源から取っている場合、負荷の偏りが起こりやすい傾向にあります。高圧需要家のような厳格な不平衡率の規定はありませんが、負荷の偏りを放置すると、特定の相に電流が集中し、ブレーカが落ちやすくなったり、電圧変動によりモータや精密機器の寿命が短くなったりといった問題が発生しやすくなります。そもそも、電力会社との契約で「従量電灯」となっている場合は、三相から単相を取り出すこと自体が違反となりますので、注意が必要です。

低圧需要家における不平衡率の計算方法(単相三線式)

三相は高圧と同様ですが、単相三線式は計算式がやや異なり、下記となります。

不平衡率(%) = { (中性線と各電圧側の負荷設備容量の差) / 総負荷設備容量の1/2 } × 100

例えば、R-O相に単相15kVA、単相5kVA、O-T相が単相5kVA、単相5kVA、R-T相が単相25kVAの場合、単相R-O相は20kVA、O-T相は10kVA、総負荷容量は55kVAです。この数値を計算式に当てはめると、下記のようになります。

( 20 – 10 ) / ( 55 ÷ 2 ) × 100 = 36.4%

内線規程の基準値である30%以内を超過していますので、是正措置が必要となるかもしれません。低圧単三の場合には、やや規定も緩く、やむを得ない場合には40%を上限とすることが可能です。応相談と言ったところです。

低圧需要家における負荷の偏り対策

低圧需要家においても、電気設備を安全かつ効率的に運用するためには、負荷の偏りに対する意識を持つことが大切です。高圧需要家のような大規模な対策は不要ですが、日々の業務の中でできる簡単な対策があります。最も手軽で効果的な方法は、単相負荷を各相に均等に配分することです。例えば、新しいコンセントや照明を増設する際には、負荷の少ない相に接続するように意識的に計画を立てましょう。また、事務所や工場内でのレイアウト変更時も、この点を考慮することで、不平衡によるリスクを軽減できます。必ず単線結線図を確認して、今回負荷をどこに付けるかを考えましょう。

低圧需要家における具体的な是正方法

負荷の偏りがすでに顕著な場合は、負荷の再配置が第一の是正方法となります。これは、各コンセントや照明を各相に振り分け、負荷が均等になるように配線し直すことです。これにより、特定の相に電流が集中するのを防ぎ、ブレーカがトリップするリスクを低減できます。そもそも、規模が大きくなる場合は、動力用と電灯用で受電系統を分けて受電することで、単相負荷の不平衡が動力機器に与える影響を完全に分離できます。これらの対策は、小さな工夫から大きな設備投資まで、状況に応じて柔軟に選択できます。

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まとめ:正しい理解と計算、そして適切な対策で、安全な電気設備を

本記事では、内線規程に基づく設備不平衡率の重要性から、高圧・低圧それぞれの需要家における計算方法と、実践的な是正対策、さらには内線規程の例外規定についてまでを解説しました。電気設備を安全に運用し、電力会社とのトラブルを避けるためにも、この計算を正しく理解し、定期的な確認と適切な対策を行うことが重要です。この記事が皆さんの日々の業務の一助となれば幸いです。設備不平衡率は電気設備に関わる者として、避けては通れないお話です。しっかりと理解し、運用を行いましょう。

この記事を書いた人
T係長

30歳で制御設計の世界に飛び込み、未経験から10年以上にわたり、プラント設備の制御設計・更新・改造案件に携わってきました。これまで100件を超える現場経験を通じて、設計図面から制御盤、シーケンス制御、保護協調まで幅広い電気技術を磨いてきました。
保有資格は「第二種・第三種電気主任技術者」「第二種電気工事士」「基本情報技術者」。資格の枠にとらわれず、現場で困っている人を助けられる技術者であることを大切にしています。
このブログ「誠電気設計」では、初心者や若手エンジニアの方にもわかりやすく、実務に役立つ知識を共有しています。学びを通じて、読者とともに成長し続けることを目指しています。

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